村上建築設計室です。
先日は、家づくり学校の研修旅行で岡山と兵庫の建築を巡ってきました。
建築見学での空間体験は、自分の設計の引きだしを広げてくれますが、
憧れの建築家でもある先生や先輩、仲間とコメントしながらの見学は、
見るべきところを見る目を養ってくれ、深い理解へと導いてくれます。
ありがたや。
そして、3日間、旅先へと送り出してくれる家族にも、ありがたや。
(どうぞ来年も行かせてください
)
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さてさて、1日目は、岡山の吹屋地区へ。
ベンガラ産業で栄えた街並みと、豪商・豪農の屋敷を3軒、見学してきました。
★西江邸
当代まで続く西江邸は、当主曰く「建築道楽」の家主たちが代々手と財を投じてきた邸宅です。
瓦としっくい、石積みが圧巻の佇まいです。
室内は撮影NGでしたので、メモと記憶にしかととどめてきましたが、
それはそれは、見どころがたくさん。
当時の棟梁や職人さんの技術がふんだんに見て取れます。
磨き、守られた上質な素材の表情に加え、あちこちに生けられた季節の花が、
主の建物への愛着として感じられました。
(愛着あればこそ、私財を投じて維持されているのだと思います)
また、ちょっとかわいらしい陽だまりのコーナーもあったり、
設計へのヒントもいただきましたので、あたためておこうと思います^^・
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★広兼邸
続く広兼邸も、迫力の石積みです。
大きな庄屋だった屋敷は、崖にそって建てられ、門からは屋敷へと続く道と、
眼下の山並みを見下ろします。
色の少ない季節のせいか、また、この閉鎖的な立地のせいか、ちょっと世間から隔離されたような
謎めいたような、そんな不思議な印象。
まるで日本じゃないみたい。
そんなことを思っていたら、「八ツ墓村」など横溝正史作品の映画の舞台にもなっていたそうで、
その案内をみたら、もうすっかりミステリーゾーンに迷いこんだ気分になりました。
最後は、石州瓦とベンガラ色の外壁で統一された保存地区の街並み見学。
吹屋地区の豪商たちは、屋敷をつくる際に個々の豪華さを競うのではなく。
みなで相談をして、石州(島根)から大工を呼び、
統一したコンセプトで街並みをつくっていったのだとか。
現代も同じような心意気で個々の住まいをつくっていけば、
年月を経て美しさが増す街並みになるのでしょうね。
当時の旦那衆はなんとも粋でしたね。すばらしい。
そうそう、岡山ではこのような↓組子の格子がよく使われていました。
3~4本おきに短い格子と長い格子が連続します。
通りを行く人の目線は、細かい格子が遮り、
粗い格子が、上部からのあかりを室内に取り込む。
とても理に適ったデザインだなぁと、しっかりとメモしてきました^^。
旧:片山邸(ベンガラ屋)
と、ここまでが1日目。
まだまだ旅は続きます(笑)
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