以前、お母様が車椅子の生活をし、
お父様が介護をしている2世帯住宅を設計しました。
1階にお父様とお母様の生活空間を設け、
そのゾーンに近接するように、
息子さんご夫婦の趣味の部屋
=自分を楽しみながら穏やかに見守る
を設けました。
くつろぎ・食事の場、寝室、水周りは
寝室を中心に、ひとつながりになっています。
水周りの手前に、全室を設け、
汚れものが出たときに使用できるようにしてあります。
また、お父様世帯はお母様が車椅子での移動ですから、
玄関からの出入りはしません。
南側に大きなウッドデッキを設け、
そこがお二人の玄関になります。
車椅子でも気軽に外の空気に包まれ、
その動きを感じ、ひなたぼっこができる場所です。
そして、この場所はお母様が通っていらっしゃる、
デイサービスの車の送迎の場所になっています。
デイサービスの車の送迎車はこのデッキまで入り、
乗り降り用の昇降盤がデッキの高さになり、
ほぼフラットで乗り降りすることができます。
介護と共に生活するとき、
その家族特有の様々な問題が
浮かび上がってくると思います。
そこに住まわれる人と
「どんなふうに暮らしたいか」に耳を傾け、
生活する人(お施主様)・考える人(設計者)で、
ひとつの住まいをつくっていければいいと、
いつも思っています。